★米国での購買動向はどのようなパターンがありますか?
オンラインショッピング・オムニチャネル・インスタショッピング。この3点が挙げられます。日本に来て「リアル店舗にお客さんが沢山入ってるな」と正直に感じました。デジタル化はこれから日本でも加速します。米国ではお店の存在は物を触りたい=体験型に変化しています。某ラグジュアリーブランドの昨年末のPOPUPでは、「販売目的」ではなく完全に「PR目的」に変わっていました。インスタ映えする商品をメインにし、店員も「買ってください」ではなく「楽しんでください」という接客の仕方。そこで売上を上げるのではなく、お客様から情報を吸い上げることが大事です。お客さんの情報/要望を集めるけど、集めているような印象を与えないようなやり方をしてます。
★ECの場合は直接のECサイトという手法もありますか?
米国ではDTC (Direct to Consumer)つまり、ブランドが卸売を介せずに直接売る手法で伸びているブランドが多数あります。もちろん、ブランドのファン層がいなければ成り立たないのですが、成功しているブランドの中には数百億で大手Retailerに買収されたり、数十億規模で投資を受けているブランドもあります。彼らも最初から顧客がいたわけではなく、SNS含めたデジタルマーケティングを積み重ね、卸売を介せずに売る価格でのメリットを唄いますが、安ければ買ってもらえる時代ではありません。ここでも他には無い分かりやすいブランドアイデンティティがあってこそ、の手法と言えます。
★キーワードのデジタルマーケティングとはどのような手法でしょうか?
世界はECを含め、PRでも購買チャネルでもデジタル化が日本より進んでいます。分かりやすいのはインスタグラムです。単に写真を挙げるだけの時代は終わり、どのようなチャネルにどのように響かせるか、を写真の撮り方を通じて発信する必要があります。例えば、グローバルに展開したい際に白人のモデルだけを起用していると「有色人種」の着用イメージや「プラスサイズ」のイメージ等、人種・年齢・体型、あらゆる消費者に向けたブランドだ、というイメージを植え付けるのは難しいでしょう。インスタはブランドconceptのみを発信する時代ではなく、targetやその後のショッピングに繋げる一つのツールとして利用します。
★戦略が必要!とありますが、良い商品だけでは届かないのでしょうか?
商品が他と差別化している事は大前提です。が、そうであっても類似商品が全くないブランドは無いので「戦略として他との差別化」が必要です。
お店にとっては「売れるブランド」が欲しいので、どのようにしたら売れるのか、を一緒に考えていけるブランドが重宝します。一つの例として、そのシーズンで売れなかった商品を一旦引き取り、他の売れ筋商品と交換するRTV (Return to Vender)という手法もあります。
また大手と取引する場合は毎日セールス日報をもらい細かく一緒に分析したり、当たり前ですが納品時期を遅らせない、等の細やかな対応も含めて「取引したいブランド」になる事が大切です。